家族の形が多様化する現代、昔存在
した「家制度」も崩壊しつつある昨
今、配偶者が亡くなった後、その配
偶者の親族と縁を切ることが出来る
「姻族関係終了届」を知っているで
あろうか?
最近、テレビなどのメディアで取り
上げられており、ご存知の方もいる
かもしれない。
自身の配偶者が亡くなったとしても、
その親族と何のしがらみもなければ
わざわざ「姻族関係終了届」など提
出しないであろう。しかし、家族に
よっては、「長年付き合いで生じた
様々なしがらみから、配偶者の亡き
後まで、その親族との付き合いをし
たくない」という人もいるようだ。
今回はそんな人のために、最近注目
されつつある「姻族関係終了届」に
ついて、調べてまとめてみた。
<姻族関係終了届とは?>
そもそも「姻族関係」とは何であろう
か??漢字からすると難しそうである。
簡単に説明すると、「結婚した場合は
その配偶者との家族や親戚関係に姻族
関係が結ばれることになる」というこ
と。血のつながりはもちろんないが、
「結婚」したことによって、配偶者の
血族と親戚関係が生まれる、というこ
とである。
この「姻族関係」は配偶者と離婚した
場合は、離婚した時から配偶者及び、
その配偶者の家族や親戚とも「姻族関
係」は終了になる。これは当然だ。
一方、もし配偶者が死亡した場合、夫
(あるいは妻)がいなくても、その家
族や親戚との付き合いはそのまま継続
される。
「姻族関係終了届」はここに使うこと
が出来る。配偶者の死後、「配偶者の
家族や親族との関係性を終了したい」
と望んだ場合、「姻族関係終了届」を
自身の居住地の市区町村、または本籍
地の市区町村に提出するだけで終了、
という簡単な手続きで済むそうだ。
なお、この手続きは配偶者を亡くした
本人が決めることが出来るため、配偶
者の家族や親族などの了解は必要がな
いことから、その手軽さからも注目を
集めているようだ。
<姻族関係終了届の手続きと提出先、書き方は??>
「姻族関係終了届」を提出する方法を
以下にまとめてみた。
夫(あるいは妻)が亡くなった場合、生
存している配偶者の本拠地または居住地
の市区町村の市役所で手続きを行う。
必要なもの
・姻族関係終了届
・戸籍謄本(全部事項証明)
・印鑑
・届け出を行った本人の身分証明
(運転免許証・保険証・マイナンバーカード等)
※各市区町村によって、若干異なることあり。
詳しくは各市町村のホームページ等で確認
願います。
※期限は特に定められていない。配偶者の死亡
届が受理されればいつでも提出が可能。
姻族関係終了届の書き方
「姻族関係終了届」の書き方についてですが、
届け出が必要な市区町村の指定の用紙に従が
い、記入を行って下さい。
主な記入項目
・届け出た日付
・姻族関係を終了する人(残された配偶者)
の名前
・届け出る人の生年月日
・現在の住所登録をしている場所の住所、
世帯主の名前
・死亡した配偶者の情報を記載
(死亡した配偶者の名前、生年月日、本籍
筆頭者の名前)
・届け出人署名、押印
(最後に届け出た配偶者の署名と押印をし
ます。)
<「姻族関係終了届」のデメリットは??>
残された配偶者の手続きによって提出
出来る「姻族関係終了届」であるが、
デメリットの側面はあるのだろうか?
感情的な側面と法的な側面から、以下
にまとめてみた。
感情面でのデメリット
・何か自分にあった時に助けてもらえない
・「姻族関係終了届」自体が、個人で提出
するものなので、相手に知られることが
ない。つまり、亡くなった配偶者の両親
や親族などには知らされないため、後に
トラブルになりそうであれば、事前に知
らせておくなどの対処が必要ということ。
法的側面でのデメリット
・「姻族関係終了届」を提出し、受理される
と取り消すことが出来ない。
・姻族関係終了届を提出した本人に子供が
いる場合、子どもから見た(亡くなった
配偶者の)祖父母の介護などの扶養義務
が子供に発生してしまう可能性がある。
いずれにしても、わざわざ「姻族関係終了
届」を提出するのであるから、各々それな
りの経緯があるはずだ。
もし、「姻族関係終了届」を提出したので
あれば、上記の面も踏まえての覚悟が必要
であるということだ。
<「姻族関係終了届」を提出しても遺族年金はもらえる??再婚した場合は??>
結論から言うと、「姻族関係終了届」を
提出していても、遺族厚生年金はもらう
ことが可能だ。
ただし、注意しなければならない事柄が
以下の4つある。
・受給資格者が死亡したとき
・受給資格者が再婚したとき
・受給資格者が直系尊属(祖父母)や直系
婚族(配偶者の父母・祖父母)以外と養
子関係を持ったとき
・受給資格者が離縁した場合(養子
であった受給資格者が配偶者との養子縁組
を解消して親族関係がなくなった場合)
この4つのいずれかに該当してしまうと、
遺族年金を受け取る権利がなくなってし
まうので注意したい。受け取る本人が死
亡した時はもちろんのこと、別の相手と
再婚する場合も受け取る権利はなくなっ
てしまうので、そこは知っておく必要性
がある。
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